所得税2-2 累進課税 (たぶん)知ってるからの卒業。
前回の続きです。
今回の論点は 、税理士(である私)も時々勘違いしてしまうような、
若干ややこしい論点かなと思います。
少しだけ丁寧目に説明してみたいと思います。
累進課税とは
まずは国語的な意味を書いてみます。
累進課税(るいしんかぜい)とは、
課税標準(租税を賦課する課税対象)が増えるほど、より高い税率を課する課税方式
累進課税には以下の2パターンがあります。
- 単純累進税率方式(一定税率に達すると、全額に対する税率増)
- 超過累進税率方式(一定額超となると、超えた分のみ税率増)
これらを意識して使い分けることはあまり無いですが、
日本の税金は概ね 2.超過累進税率方式を採用しています。
それでは累進課税について、事例で考えてみます。
事例で見てみる
例えば、年収400万円の方の税負担はおおよそ以下の通りとなります。
←左図は給与所得(計算方法等は前回記事参照)
所得税2-1 自分の税金、計算できますか? - 素朴な税務ブログ by yui好き税理士(仮)
緑部分(2色)が所得税の計算になります。
「税率」欄にも少し記載しておりますが、
・195万円までは5%
→195万円×5%=97,500円:A
・195万円超(216-195=21万円)は10%
→21万円×10%=21,000円:B
A+B=118,500円となります。
税率を意識する場合には↑のように計算するのですが、
一般的には国税庁HPの速算表を見て計算することが多いかと思います。
2,160,000円は、上から二段目の「1,950,000円 から 3,299,000円まで」
税率10%・控除額97,500円ですので、
216万円×10%(216,000円)-97,500円=118,500円
先ほど同様となりました。
ここまででお分かりかと思いますが、
216万円×10%=216,000円ではない ことになります。
ありがちな間違い会話例
たまに、以下のような間違い会話に出くわすことがあります。
・195万円を超えたから、税率が10%になっちゃった
所得に対する負担率が10%という趣旨である場合には、
この表現は誤りということになります。
(先ほどの例の場合、負担率は約5.4%=11.85/216)
※給与収入比であれば2.9%(=11.85/400)ともっと少ない比率です
・195万円を超えたから、累進課税で10万も税金増えちゃう
例えば、所得194万円→税額9.7万円(194万円×5%)の場合。
2万円所得UPして196万円になると、最高税率は10%なので、
196万円×10%=19.6万円
→10万円税金増、は誤り。
これでは収入が2万円増えたのに税金10万円増でマイナスになっちゃいます。
日本でも流石にそれはないです笑
実際の税額は、9.85万円=196万円×10%-9.75万円 が正しい。
税額が増えるのは10万円ではなく、1万円もいかないですね。
手取りも1.5万円増加です。
ただし○○万円を超えると○○%
という考え方は、場合によっては正しい表現ともなります。
今回も長くなりましたので、こちらは次回。
次回で一区切りとなりそうですが、引き続きよろしくお願いいたします。
↓↓次回記事↓↓
※2023/01/04 万円、千円などの表記、フォント等の修正