所得税2-2 累進課税 (たぶん)知ってるからの卒業。

前回の続きです。

今回の論点は 、税理士(である私)も時々勘違いしてしまうような、

若干ややこしい論点かなと思います。

少しだけ丁寧目に説明してみたいと思います。

累進課税とは

まずは国語的な意味を書いてみます。

累進課税(るいしんかぜい)とは、

課税標準(租税を賦課する課税対象)が増えるほど、より高い税率を課する課税方式

累進課税 - Wikipedia

 

累進課税には以下の2パターンがあります。

  1. 単純累進税率方式(一定税率に達すると、全額に対する税率増)
  2. 超過累進税率方式(一定額超となると、超えた分のみ税率増)

これらを意識して使い分けることはあまり無いですが、

日本の税金は概ね 2.超過累進税率方式を採用しています。

 

それでは累進課税について、事例で考えてみます。

事例で見てみる

例えば、年収400万円の方の税負担はおおよそ以下の通りとなります。

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←左図は給与所得(計算方法等は前回記事参照)

   所得税2-1 自分の税金、計算できますか? - 素朴な税務ブログ by yui好き税理士(仮)

 →右図が所得税可処分所得の計算です。

  緑部分(2色)が所得税の計算になります。

 

「税率」欄にも少し記載しておりますが、

195万円までは5%

 →195万円×5%=97,500円:A

 

195万円(216-195=21万円)は10%

 →21万円×10%=21,000円:B

 

 A+B=118,500円となります。

 

税率を意識する場合には↑のように計算するのですが、

一般的には国税庁HPの速算表を見て計算することが多いかと思います。

f:id:t-uyuki:20210508204843p:plain

No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

 

2,160,000円は、上から二段目の「1,950,000円 から 3,299,000円まで」

税率10%・控除額97,500円ですので、

216万円×10%(216,000円)-97,500円=118,500円 

先ほど同様となりました。

 

ここまででお分かりかと思いますが、

216万円×10%=216,000円ではない ことになります。

 

ありがちな間違い会話例

たまに、以下のような間違い会話に出くわすことがあります。

 

・195万円を超えたから、税率が10%になっちゃった

 所得に対する負担率が10%という趣旨である場合には、

 この表現は誤りということになります。

(先ほどの例の場合、負担率は約5.4%=11.85/216)

 ※給与収入比であれば2.9%(=11.85/400)ともっと少ない比率です

 

 ・195万円を超えたから、累進課税10万も税金増えちゃう

 例えば、所得194万円→税額9.7万円(194万円×5%)の場合。

 2万円所得UPして196万円になると、最高税率は10%なので、

 196万円×10%=19.6万円

 →10万円税金増、は誤り。

 

 これでは収入が2万円増えたのに税金10万円増でマイナスになっちゃいます。

 日本でも流石にそれはないです笑 

 

 実際の税額は、9.85万円=196万円×10%-9.75万円 が正しい。

 税額が増えるのは10万円ではなく、1万円もいかないですね。

 手取りも1.5万円増加です。

 

 

ただし○○万円を超えると○○%

という考え方は、場合によっては正しい表現ともなります。

 

今回も長くなりましたので、こちらは次回。

次回で一区切りとなりそうですが、引き続きよろしくお願いいたします。

↓↓次回記事↓↓

t-uyuki.hatenablog.com

 

※2023/01/04 万円、千円などの表記、フォント等の修正