消費税を考える-2 医療費を0%課税という考え
前回記事の続きです。
総選挙はまさかの分配(バラマキ)が焦点になってしまいました。
喜ぶべきか否か…
「免税」にする目的
医療費を免税にする、という主張を今回は繰り広げてみます。
そもそもの「免税」とする目的は
「消費税の影響を受けないようにする」です。
なぜ「免税」にしたいのかというと、こんな感じです。
課税:10万円の人間ドック
→受取金額は11万円(10×1.1)
非課税:10万円の手術を受ける(保険適用とします)
→受取金額は10万円
免税:10万円の手術を海外で受ける※これは免税ではないですが…
→受取金額は10万円
これに対する経費の消費税は以下のような負担者の違いがあります。
課税:人間ドックに使う機械税込3.3万円→実際は3万円の負担でOK
(納税は10-3=7万円)
非課税:手術に使う機械税込3.3万円→そのまま3.3万円を負担
(納税も還付も無し)
免税:手術に使う機械税込3.3万円→実際は3万円の負担でOK
(3万円は還付される)
つまり非課税では、医療提供側が0.3万円分、
経費の消費税10%分を負担することになります。
ただし現実的にはまるまる医療提供側が負担している訳でなく、
一部は手術代金の値上げに反映されています。
それ即ち、まるまる10%ではないですが、消費者の負担増ともいえるわけです。
医療費「免税」化の効果
上記の理由から、いっそ医療費も「免税」の扱いにしちゃえばいいのでは?
というのが今回の記事です。
国全体ではどんな効果があるでしょうか。
国全体の医療費は約43兆円程度とされています。
また医療原価のおおよそ40%が消費税の課税対象と想定でき、
17兆円の経費が課税対象となっていると想定できます。
(上記前提についてのソースは最後に。)
そうすると、
「免税」とすることで、単純計算では1.7兆円の
医療提供側 or 消費者の負担を減らすことが出来そうです。
なお直接支払う医療費負担は3割のみなので、
1億人換算すると年間1人5,100円程度の負担減です。
ただし残りの7割は「健康保険料」として負担しているわけなので、
実質的には年間1人17,000円くらい負担減となる想定になります。
また医療負担が大きい「弱者」ほど救済されやすい点も良いのではと思います。
医療費だけでだいぶ書いてしまったので今回はここまで。
次回以降は住宅、水道光熱費の0%化、
さらにインボイス制度と納税義務免除のあり方を検討してみます。
<前提ソース>
・43兆円の医療費
https://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/20/dl/iryouhi_data.pdf
・40%を消費税対象の経費
https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/200110_No010.pdf
収入のうち経常利益2%+人件費58%=60%
残りの40%が課税経費となる(減価償却費は支出時に課税経費となっている)
2021/12/03追記
厚労省で「医療機関等における消費税負担に関する分科会」ということを
やっているそうです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000201454_00008.html
消費税5%時代との差異の検証のようですが、結論としては、
つまり3割自己負担 or 社会保険料でカバーされている
⇒患者 or 社保納税者が負担している、というのが実態のようです。
であれば、わざわざ免税化したところで、3割自己負担位にしか影響はない
(社保負担は減るが、税収が減るので行って来いと思われる)
ものの、医療機関側としては設備購入の消費税負担などは
収入で回収するより消費税還付のほうが即時的とも思われ、
その点では医療機関側としては免税化を求めるのかなと考えます。