消費税の納税義務-5 本当は納付じゃなくて還付を気にしてる
ここまで「納税義務があるか」=「納税が必要か」
を判定するための記事を書いてきました。
今回は特殊ケース4つポイント
・業種に関すること(売上のなかに非課税のもの、免税のものがある)
・基準期間に関すること(基準期間がない、基準期間に納税義務がない)
・納税義務を免除しないほうがよいケース
・相続や合併等の組織再編に関すること
のうちアンダーライン、あえて納税義務を免除しないべきケースをご紹介。
おさらいand応用ー赤字でも納付、黒字でも還付があり得るー
まずは、消費税計算のおさらいです。
「預かった」マイナス「支払った」これが原則です。
上記の記事では「赤字の納付」を例にしていますが、
逆に「黒字の還付」というケースもあります。
税抜きで1,000の売上、100の仕入れのあった事業年度に1,500の在庫品を買ったとします。
在庫品なので利益900には影響しないですが、消費税では「支払った」に含めます。
すると 900-1,500=△600 について消費税還付を受けることができます。
消費税還付は納税義務がないと…
ここで冒頭の・納税義務を免除しないほうがよいケースの考え方が登場します。
「納税義務が免除されている場合には、還付のための申告はできない」(消費税法46条)
と規定されているからです。
そもそも還付を受けることができる状態だったとしても、それを申告しなければ、
国が勝手に還付してくれることはないですし、還付できるよーと催促もしてくれません。
しかし消費税の納税義務がない場合にはそもそもの申告手続きができないという法体系になっています。
逆に言えば、納税義務があれば、還付を受けることが可能となるわけです。
600円なら良いですが、600万円だったとしたら…(;^_^A
消費税の納税義務の有無はこうやって覚えてください、とお伝えしました。
「2年前の売上が1,000万円以下か、超えたか」
2年前のことは当然変えられませんから、
「じゃあ売上がたくさん出るようになってから仕入れしなきゃ損するの??」
と思ってしまうかもしれません。
これを救済するため、納税義務ありを「選択」するという手続きがあります。
納税義務ありを「選択」する
手続き自体は大したことではなく「消費税課税事業者選択届出書」という書類を書いて税務署に出します。
記載内容も「2年前の消費税の課税売上」以外は誰でも正確に書ける、と言っていいでしょう。
ただし納税義務ありを「選択」すると、原則2年間の継続適用が必要になります。
また還付を受けた年に100万以上のものを購入している場合は原則3年間に伸びます。
何が言いたいかというと、
還付を受けた金額 < 還付後の継続期間で納税する金額 であれば、
そもそも選択しないほうが得、となってしまいます。
まぁ還付後の期間の「2年前の売上」が1,000万円以上だったら
選択する・しないで結果は一緒なのですが…
などなど、上記以外にもさまざまな検討を要することが多いです。
難しいなーと思ってしまうかもしれませんが、まずは
なかなか簡単にはいかないのが消費税というイメージを持っていただければなと思います。
どんどん長くなっている消費税シリーズ。
なるべく一般的に、わかりやすく、親しみをもってもらえるような内容にしたいなとは思いつつ。
増税するまでに終わりたかった…(笑
増税後もちょいちょい直しています笑
それでは。