消費税(最終) 課税売上割合というやっかい者
「消費税の納税義務」というテーマだけで3か月もかかってしまいました…
最後は少しだけ番外編となりますがとても大事なテーマなので、概要だけでもぜひ。
「預かった」マイナス「支払った」の例外
まずは、前回も書きましたが、消費税計算の原則。
「預かった」マイナス「支払った」
消費税の基礎知識-赤字でも納税?- - yui好き税理士の経理応援ブログ(仮)
しかし「支払った」側は、全額控除ができないケースがあります。
具体的には下記のいずれかの場合です。
1.課税売上高が5億円を超える場合
2.全売上に対する課税売上の割合(=課税売上割合)が95%未満の場合
1.のケースは2.の応用編なのでこの記事では2.の課税売上割合について説明。
課税売上割合とは
文言だけではわかりにくいので、いつものエクセルをつけてみます。
3階建ての建物を賃貸しています。
上記の場合で、課税売上割合は 400÷1000(400+600)=40% となります。
そして、先ほどの全額控除できないケースでは
「預かった」から控除できる金額は 「支払った」×課税売上割合 とする、
というルールになっています。
図にすると下記のようなイメージ。
原価900は建物全体の修繕費だったとします。これにも消費税90がかかります。
「預かった」マイナス「支払った」 で考えれば 40-90=△50 で還付となりそうですが
「支払った」側は全額控除ができないので、40-90×40%=4 の納付です。
考え方としては、
消費税を「預かった」場合には、「支払った」消費税を控除してよいけど、
非課税売上については「預かった」消費税がないので、
非課税売上に対応する分の「支払った」消費税については控除を認めない、
という整理になります。
※ベースとなる考え方は書いてきたとおりですが
現実にはすべての支払いについて↑のように控除できない部分が発生するわけではありません。
ただし控除できない部分を発生させないためにはいくつか条件があるため、今回は割愛します。
不動産賃貸と消費税の「ワナ」
居住用不動産への投資を考えた場合には、
上記の考え方で行けば、課税売上割合は0%となりますね。
すなわち、居住用不動産について「支払った」消費税は控除できるのが0%、
イコールすべて自己負担、となってしまいます。
これは、消費税の納税義務を選択したか・否かにかかわらず、同様です。
(納税義務選択によれば、グレーな方法でやりようはあるのですが…ここでは割愛します)
つまり、税抜きで1億円の建物に投資するつもりでも、
消費税1,000万円の追加負担があるものと考えなければなりません。
将来の大規模修繕についても、1割増し負担です。
事業(しかも消費税非課税の投資)をやっているのに、
消費税負担…この制度のおかしな部分だなぁと思います。
というわけで。
消費税は、ワナだらけであること、わかっていただけましたでしょうか?
ここまでの私の記事を読んで「よし、わかった!」と思った方、
自分で申告書を書いてみることをお勧めします。
「うん、わからん!」と思った方は、
ぜひコメント等で質問・作成依頼などいただければ幸いです。
最後はかなり駆け足となりましたが、消費税の記事はいったんここまでにします。
8%時代の記事を10%に統一するか…などの細かいメンテはしたいなーと思いつつ、
ひとまず次のテーマにすすみますが、引き続きよろしくお願い致します。
2020/8/22更新
更新時に再投稿としてしまうと記事順が入れ替わってしまいますよね…
どこかのタイミングで直さないとですね。