消費税の納税義務-4 直近2年間に「特別なこと」があったら
今回のテーマの前に、
最初の記事で書いた「2年前の売上が1,000万円以下か、超えたか」
で判定しないほうがよい特殊ケース、4ポイントを復習です。
・業種に関すること(売上のなかに非課税のもの、免税のものがある)
・基準期間に関すること(基準期間がない、基準期間に納税義務がない)
・納税義務を免除しないほうがよいケース
・相続や合併等の組織再編に関すること
今回はアンダーラインの部分について解説します。
設立と納税義務
消費税の納税義務の大原則は「2年前の売上が1,000万円以下か、超えたか」
なので、2年前がない場合、通常の設立1・2期目は納税義務はありません。
ただし上記の状態ではこんなことが起こります。
「●×事業、分社化して新しい法人でやりましょう。
売上年間1億くらいあるけど消費税マルマル納税しなくていいっすよ」
ということを防ぐために下記の場合には2年前の売上にかかわらず納税義務が発生します。
・設立時点で資本金1,000万円以上の場合
・親会社の2年前の売上が5億円超の場合
・相続、合併、分割により設立した場合で事業承継元の2年前売上が1,000万円以上
(国税庁HPではもう少し詳しく書いてありますがここではざっくり。)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6503.htm
設立1年目は、次回説明する「あえて納税義務を選択する」ケースを除くと、
上記に当てはまらなければ納税義務発生しない為
そこまで認識間違いが起こることは少ない印象です。
2年目の納税義務
意外と間違いやすかったり、覚えづらいのは設立2年目だったりします。
なぜなら、設立1年目に設備投資について消費税還付を受けた場合、
ほとんどのケースで2年目とも納税義務が発生します。
この点は大変重要なので、次回詳細にご説明します。
さらに、設立1年目の場合に加えて、前年の1~6か月目までの売上および給与が1,000万円以上の場合にも納税義務が発生します。
(この「前年の1~6か月目まで」を特定期間と呼んでおります。)
ということで制度的な説明はここまでにしておきます。
分かりづらいなーと思ってしまったかもしれませんが、
「2年前の売上が1,000万円以下か、超えたか」には一定の制限がある
「直近2年間で特別なことがなければ、2年前の売上が1,000万円以下か、超えたか」
ということを記憶に留めて頂ければ幸いです。
今回の記事で、設備投資関連以外で納税義務が強制されるケースはおしまいです。
「納税義務があるか、ないか」というテーマ自体はシンプルなはずなのに
シンブルに書こうとすると(色々気にすべき点が多く)中々難しい…
税制がこんなに分かりづらくていいのだろうか?という部分も大きいですが。
専門家でも記憶が曖昧だったりしますし。
私の思いとしては、この記事を読んで「ちゃんと検討しないといけない」
「思い込みで判断しない」という感覚を持っていただければ、ひとまず幸いです。
次回以降も宜しくお願いします。