所得税-3 共働きと1人稼ぎ 専業主婦→復帰の場合

前回からの続きになります。

t-uyuki.hatenablog.com

 

給与所得控除の恩恵を受けるパターン、観られるでしょうか。

 

<ケース1-2>専業主婦→復帰の場合(メイン側転職なし)

サブ側が専業主婦で収入なしだったが、働き始めることにしたケース。

メイン側は転職などはせず、そのまま。

この場合の手取り額の増減について検討してみます。

 

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サブ側は<ケース1-1>と同様200万円稼ぐとした場合、

つまり給与収入が200万円増加の想定です。

 

この場合、社会保険・税金を控除した後の「可処分所得」の合計額は150万円程度。

つまり税金等による負担増は50万円程度になっています。

これは<ケース1-1>メイン側での変更なし、サブ側の給与増加パターン

と同じ負担増減です。

 

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並べてみると分かりやすいのですが、1-1⇒1-2で、

給与所得の増加差額である100万円そのまま可処分所得の増加差額となっています。

 

変更前後の負担増の理由も全く一緒ですので、ここでは1-1との比較で考えてみます。

(1)給与所得控除の増加額

1-1では給与所得控除は13万円の増加です。(前回記事の通り)

一方2-1では、変更前に給与所得控除の適用がないため、

変更後の68万円がまるまる給与所得控除の増加額となります。

ここで所得への影響が55万円(68万円-13万円差が出ているわけです。

 

(2)基礎控除の増加額

エクセル表では表現していませんが、所得税には基礎控除という概念があります。

確定申告や年末調整において所得税額の計算をする場合に、総所得金額などから差し引くことができる控除の一つに基礎控除があります。
基礎控除は、ほかの所得控除のように一定の要件に該当する場合に控除するというものではなく、一律に適用されます。(国税庁HPより)

平たく言えば、所得がある人は、必ず基礎控除を受けることができます。

令和2年分から改正があり、基礎控除額は48万円です。

(合計所得金額が2,400万円を超えると基礎控除が減少しますが、詳細は割愛します)

 

ここで先ほどの例に戻りますと、

1-1の変更前では、給与所得控除により100万円-55万円=45万円。

これから基礎控除額48万円は控除しきれないものの、

45万円分は控除され、所得なしとなっています。

変更後は所得が十分にありますから48万円全額控除されています。

 

一方2-1の変更前では控除する所得がありませんから、基礎控除額も0円

こちらも変更後は所得が十分にありますから48万円全額控除されています。

 

少しややこしいですが、変更前後の基礎控除額は

1-1では45万円→48万円で+3万円 ですが

2-1では0万円→48万円で+48万円 ここに45万円分の差額が生じているのです。

 

 

(1)+(2)=100万円。1-1と2-1の手取り差額と一致しましたね。

 

当記事でいいたいことは、(1)給与所得控除の増加こそが、

共働きにおける給与所得控除の両取りという恩恵なのです。

所得がなければ控除もなく、1人稼ぎでは給与所得控除も1人分だけですので。

(なお基礎控除についても同じことが言えます)

 

 

以上、だいぶ長くなってしまったのですが

給与所得控除について事例解説してみました。

もう少し簡略化した形で説明した記事が出来たら、当記事にも載せてみます。

 

よろしくお願いいたします。

 

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 今後ともよろしくお願いいたします。