所得税-2 共働きと1人稼ぎ 給与所得控除とは
今回は、前回記事で棚上げとしました、
給与所得控除について深堀りしていきたいと思います。
給与所得控除=給与における概算経費
「給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出します」
(国税庁HPNo.1410 給与所得控除|国税庁より)
例えば給与収入が500万円のときは、給与所得控除額は144万円となりますので
給与所得は500万円ー144万円=356万円 となります。
給与所得控除額は以下の表の算式に当てはめて計算します。
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 | |
1,625,000円以下 | 550,000円(下限) | |
1,625,000円超 | 1,800,000円以下 | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,000円超 | 3,600,000円以下 | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,000円超 | 6,600,000円以下 | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,000円超 | 8,500,000円以下 | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,000円超 | 1,950,000円(上限) |
給与収入が500万円であれば、500万円×20%+44万円=144万円となります。
こちらの表から読み取れることは二つです。
1.給与収入が大きい→収入増加に対する、給与所得控除額の増加割合は減る。
例)50万円給与収入が増えるとした時に、
200万円→250万円の場合:+15万円(30%)
500万円→550万円の場合:+10万円(20%)
2. 給与所得控除には上限・下限がある。
850万円以上の給与収入であれば、
どんなに給与が増えても給与所得控除額が195万円以上に増えることはありません。
具体例で確認:給与所得控除のマジック
前回の記事を振り返ってみましょう。
まずは<ケース1-1>メイン側での変更なしの場合 です。
前回、税負担が20万円増加してしまう原因としては
配偶者控除の減少が要因と書きました。
ただし、それだけでは説明がつかない部分もあるのです。
上記の表は、前回の表に給与所得控除の比較を加えてみたものです。
変更前→後で給与所得控除の増加額は13万円です。
ここで「うん?」と思われた方、私より数字センスがある人です笑
なぜなら、給与収入が100万円も増加しているのに、
給与所得控除は13万円増に留まっています。
給与収入がサブ側より多い500万円の人でも、
給与収入×20%が増えるはずなのに、ですよ。
これは「2. 給与所得控除には上限・下限がある。」が影響しています。
給与所得控除の下限、つまり給与収入がある人は誰でも55万円の控除が受けられます。
いいかえると、給与所得控除は給与収入が162.5万円超から増加する性質なので
給与収入が100万円→200万円の100万円増加だとしても、
給与所得控除は38.5万円分のみ増加の影響を受けることになる、
というカラクリなのです。
ちなみに13万円の金額根拠を出そうとすると↓のようになります。
(180万円ー162.5万円)×0.4+(200万円-180万円)×0.3
180万円以上の部分から増加割合が変わるので、さらに厄介。
<ケース2-1>メイン側も転職を検討する場合 も見てみましょう。
こちらはメインが転職する→給与が下がる→給与所得控除も下がる
という点が注意点です。
メイン側減少額は下記の計算。
△{(400万円ー360万円)×0.2+(360万円ー250万円)×0.3}=△41万円
サブ側増加額はこちら。
(180万円ー162.5万円)×0.4+(250万円-180万円)×0.3=28万円
メイン・サブを合わせると、28万円-41万円=△13万円
給与収入の総額は変化なしですが、
給与所得控除額は減少してしまいました。
なお13万円×税率15%=約2万円の税金増となります。
これが前回説明がつかなかった2万円の差額の正体です。
給与所得控除は「給与収入の概算経費」といわれることも多いです。
今回の記事で 給与所得控除、やっかいだな… という印象を持たれるかもです。
しかし 給与所得控除、いいやつだな! となることも多いです。
理由としては、
給与収入が発生すれば、必ず給与所得控除も受けることができる ということ。
次回以降のケーススタディで、その辺りも説明できればと思います。
なお<ケース1-1>なのですが、負担増の説明が一番難しいかもしれません。
まだ半分くらいの要素しか説明できていないのです(-_-;)
なぜこれを最初にしてしまったのか…まぁ今更なのですが。
今回は以上です。
↓次回記事↓