節税とは何か?-3 租税回避は許される?
前回記事の続きになります。
租税回避とは
租税回避(そぜいかいひ)とは、合法な租税負担の軽減・排除のこと。主に税法や課税庁の意図しない方法で行われる点で節税と区別される。
法律違反ではないけれど、課税されるのかと思いきや実は課税されていない。
というもの。狙ってやるとすれば法律のスキを突いたものともいえます。
例えば、所得税では45%課税・法人税は30%課税であるとき、
所得税が高いので、個人事業として払うべき事務所家賃の相場が
30万円のところ、値増しして45万円払うこととします。
そうすれば、高い税率である個人の所得は通常より15万円分減り、
法人の所得が増えたとしても税率差の15%がオトクになる、というもの。
法人としては利益が増えるものの、個人事業としては損をしますが、
税率差分を個人側では給与等で回収します、というスキーム。
(言葉だけでは分かりづらいかもなので、詳細を別記事にする予定です)
※逆に法律の不備で、本来は課税されるべきでないものや、
法趣旨から外れたものが課税される、ということもあります。
租税回避を「狙う」ことは許される?
結論からいうと「許されない」ことのほうが多いものになります。
まずは法律上の規制があります。
先ほどの例でいえば、同族会社(オーナー)の行為計算の否認というもの。
カンタンにいうと、同族会社は税以外のメリットのない取引ができてしまいがち。
なので「第三者間ではありえない取引」で「税以外のメリットのない取引」は、
税メリットがないものとして取り扱う、という規定があります。
ただし、まず税務調査がないと見つかりませんし、見つかったとしても
「あり得ない取引」(それを容認すると法人税の負担を不当に減少させる結果となる)
ということを税務署側で証明する必要があるので、
余程悪質 or 分かりやすいケースでなければ、課税されない点に難しさがあります。
つまり、ギリギリ「あり得ない取引」にひっかからないところを狙う、
ということで租税回避できることはありえます。
あり得るのですが、税理士としては中々アドバイスしづらいところでもあります。
(税理士は本来的には税務署と納税者の中間の立場なので、法趣旨から外れたことはいえない建前があり。)
また上記の流れからいうと、道義的な問題もあります。
法趣旨から外れていますので。
パナマ文書やタックスヘイブンなどは正に大問題になっていますよね。
そもそも節税は許される?
では節税はどうでしょうか。
一般的には、賃上げやDX、CO2削減設備など、
インセンティブがないと進まないであろう先進技術導入などを
サポートする目的で作られた税制による節税は、許されるものでしょう。
ただし一部企業にとってしか適用できないもの、
特定事業の利得につながるもの=利権かも、という意識は持っておくと良いかもです。
以上長くなりましたのでこの辺りで。
次回以降は
・脱税や租税回避否認の場合のデメリットの説明記事
・税務知識はお金につながるか?(どんな知識がお金につながるか?)
という論点を予定しております。引き続きよろしくお願いいたします。