消費税の納税義務-3 日本標準産業分類と消費税  その2

前回の続きです。

業種ごとにまとめてみて感じたことは、

各業種の関係者の方々が、消費税について最低限知っておくべき知識とは何か?

を納税義務という切り口から考えてみようということです。

 

消費税は思わぬ損得が発生しやすいです。

ご自身が経営関与する事業や経理担当として所属する会社の業種に出てくる用語で

知らないものがあれば掘り下げてみることをオススメします。

当ブログでも追って解説記事を書いていく予定です。

 

前置きが長くなりました。

今回は、業種が一般向けでないものも多くなっていますがご容赦ください。

 

J金融業,保険業

非課税の売上がメインの業種のためあまり気にしないものと思います。

ただし非課税売上となるのは

・利息収入(金銭等の貸付の対価)

・有価証券の譲渡・貸付

・保険料収入 などですが、

顧客紹介報酬や、投資助言業、保険仲介業(いわゆるアドバイス)などの報酬は、

消費税の課税取引となりますのでご注意ください。

細かい論点ですが、海外会社への利息は非課税ではなく輸出売上(納税義務判定に影響)

となってしまう点、該当する方は注意してください。


K不動産業,物品賃貸業

1件ごとに扱う金額も伊達じゃなく、影響額が大きいという側面もあり、

不動産業消費税に一番気を使う業種かと思います。

例えばの論点としては、

・土地は譲渡・貸付が非課税

・建物は住宅の貸付のみ非課税

(住宅用の建物を売った場合には課税)

・土地建物を一緒に譲渡した場合、合理的な基準で課税・非課税を按分

など。

消費税だけでも他論点が多く、さまざまな税が関係してくる業種ですので

不動産業をされる方は税理士必須といってよいと思います。

 

なお物品賃貸業(コピーのリースなど)は、不動産業ほどの論点はありません。

リース利息以外はすべて課税売上になるイメージでOKです。

他業種との比較としては、

比較的設備投資が多いかと思うので、設備投資時の納税義務の有無に注意です。

 

L学術研究,専門・技術サービス業

研究資材への設備投資などが想定されるので、

設備投資にかかる消費税の還付(課税事業者選択、課税期間の短縮)に注意。

また海外の企業、個人との取引については支払側で注意点があります。


M宿泊業,飲食サービス業 N生活関連サービス業,娯楽業

今までは単一税率だったので、特別なことはなかったのですが…

軽減税率制度が導入されたことで、今後は要注意業種になってしまいました。

(「納税義務の判定」という意味での影響は2年後ではあります)

また民泊については通常「住宅の貸付」にはならず課税売上となります。

さらに外国人が宿泊しても免税売上にもなりませんのでご注意。


O教育,学習支援業

 一般的な塾や、専門学校、英会話学校等の授業料は課税対象です。

ただし教科書(教科用図書)の販売は非課税です。

また学校教育法に規定する学校(公立だけでなく私立もです)の授業料は非課税。

詳しくは下記参照です。

No.6233 学校の授業料や入学検定料 |消費税 |国税庁


P医療,福祉

基本的には非課税なのですが、

社会保険介護保険の対象とならないもの、

代表的なものは健康診断、予防接種などは課税対象のものがあります。

※一部、介護保険給付の対象のものでも消費税課税取引のもの(住宅改修費など)があります。

この分野も消費税区分が難しいので、個別に税務相談されることをおススメします。

また医療機器等の設備投資について、消費税の還付を受けられるか検討必要です。

 

Q以降について

まずどのような業種かをまず記載しておきます。

Q複合サービス事業:郵便局、協同組合

Rサービス業(他に分類されないもの):幅広すぎるので概要列挙のみ。

 ①廃棄物処理業 ②自動車整備業,機械等修理業 ③ 職業紹介・労働者派遣業

 ④その他の事業サービス業⑤政治・経済・文化団体,宗教⑥その他のサービス

S公務(他に分類されるものを除く):国等のサービス

T分類不能の産業:A~Sのどれにも当てはまらないもの

 

一般の方で事業として行うものはRくらいでしょうか。

⑤の政治、宗教関係では寄付金(お布施)収入が不課税の売上となりますが、

それ以外は課税売上になるものが多いです。

 

以上、時間があったら表にでもまとめてみようかと思います。

また用語をいろいろと使ってしまったので、今後はそれぞれの解説記事ができたら

リンク貼ったりしたいなーと思っています

それでは。