所得税-1 共働きと1人稼ぎ、どちらが税効率が良い?
新年1発目の記事は所得税から。
共働き世帯は2000年頃を境に、専業主婦世帯を圧倒的に上回るようになったようです。
図12 専業主婦世帯と共働き世帯|早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)
しかし、男性の育休取得率はほとんど変化がありません。
男性の育休取得6.16% 過去最高も政府目標遠く :日本経済新聞
この辺り、税制ではどんなことが担保されているか、
すなわち共働きと1人稼ぎ、どっちが税効率が良いか?
いくつかの想定ケースを挙げながら解説していければと思います。
※なお当記事では、夫婦のうち給与が多い方を「メイン」
もう一方を「サブ」と記載していきます。
<ケース1-1>メイン側での変更なし、サブ側の給与増加パターン
メイン側はそのままの職場で働き続ける(特に変更なし)の場合、
サブ側の給与収入によって税金などの負担はどう変化するか?
上記の想定では、サブ側は100万円→200万円と給与収入が100万円増加していますが、
社会保険・税金を控除した後の「可処分所得」の合計額は50万円程度しか増えていません。
なぜ上記のようになってしまうのか。要素は2つです。
(1)サブ側が 社会保険の扶養親族を外れる
変更前では、サブ側の社会保険料はメイン側の扶養親族となっているため発生なしとしましたが、
サブ側給与が年間130万円以上となる見込みの場合、メイン側の扶養親族を外されてしまいます。
この際のサブ側での社会保険料負担は約15%※となります。
※サブ側が勤務会社で社保加入できなかった場合にはもう少し負担率が上がります
詳細は社会保険制度の検討となるためこれ以上は割愛しますが
給与収入が200万円であれば約30万円ほど年間で負担増となります。
(2)メイン側が 配偶者控除の適用を受けられない
変更前では、メイン側で「配偶者控除」という38万円の所得控除を受けています。
しかしサブ側、すなわち配偶者の給与収入が150万円を超えると、
「配偶者特別控除」という所得控除に名称が変わりつつ、所得控除額も徐々に減っていきます。
給与収入のみでしたら201万円以上となると所得控除額は0円ですが、
給与収入が200万円の場合、メイン側での所得控除額は3万円となります。
問題はここから。
先ほどのケースでは、メイン側での所得税・住民税の合計税率は20%となるため、
負担増となるのは(38万円‐3万円)×20%=7万円?と思いますよね。
しかし…そんなに単純な話でもないのです…
結果としては、税負担は20万円も増加してしまうのです。
↑の解説は長くなりすぎるので次回以降です…
<ケース2-1>サブ側がパート勤務→正社員勤務、メイン側も転職を検討する場合
サブ側が正社員へ戻り、それに伴いメイン側も育児参加するために転職する。
メイン側は今回の転職により一時的に給与減の見込み。
この場合の手取り額の増減について検討してみます。
転職前・後で給与収入の世帯合計は500万円と変わらないとしているのですが、
最終的な可処分所得は20万円も転職後のほうが少なくなってしまいます。
なぜでしょうか。
(1) サブ側の給与収入も社保対象になる
まずはケース1-1と同様に社会保険料が増加しています。
これは転職後はサブ側の給与収入も社保対象となるため。
+100万円×15%=15万円の負担増となっています。
(2)配偶者控除がなくなる
またサブ側給与収入が201万円を超えると、配偶者控除がなくなります。
社会保険料の増加も加味すると、課税所得は+38万円-15万円=23万円
ただ税率は15%なので、負担増になるのは多く見積もっても 3.5万円程のはず。
しかし実際には5万円の増加になっています。うーん…
↑の1.5万円の差額のカラクリ、そしてケース1-1のことも
「給与所得控除」のことが分かれば、説明ができるのです。
ここで少し反省の弁を。
正直、今回の検証をする前はこう思っていました。
「1人稼ぎのほうが累進課税で税率高くなるし、
社会保険加入だけ気をつけておけば共働きのほうが負担減るはず」
舐めすぎでしたね…浅はかすぎました…
この記事も1週間で1記事仕上げておしまいと思っていたのですが、
たぶん1か月程度かかって3~4記事の超大作になってしまいそうな(>_<)
めちゃめちゃ削ったのに1本目の記事が1,800文字近くはヤバい兆候です。
リアルタイムで読んでいただけている方には申し訳ないのですが、
しばらくお付き合いくださいませ。
今回は以上です。
↓次回記事↓
t-uyuki.hatenablog.com