閑話:税理士あるあるを今年もやってしまった。
前回の記事UPが2022-2-14…
やってしまいました。
冬眠…と思いきや、もう5月です(;^_^
(なかなか暖かくならなかったことを言い訳とします笑)
昨年2021年も1月→5月の空白期間をやってました。
とはいえ昨年は引っ越しもありましたが特にそんなイベントもなく。
今年もしれっと復活させていただきます。
前書きが長くなりましたが今回は閑話記事です。
今年のブログの方針の意思表明として記載します。
本を読む
買った本がそこそこ積読されてきたので、
今年はこれらを生かしてテーマ決めするのもアリかと思っています。
こんなイメージですかね。
「独立的なこと」を視野に書く
ちょっと誘われたこともありまして。
すぐは独立しない方針ではありましてですが。
何故「独立」を視野にするかといえば
営業技術を向上するため、
いいかえると「お客様の求めるもの」をつかむためともいえます。
幸いにも作業を進めてくれる若手もいるので、
ここらで思い切った提案などもやってみたいなというところもあったりしますし
インボイス制度や電帳法対応などもあったりするので、
変革のチャンスともいえるのかなと。
まとめ書きして分ける
あとはブログテクニック的なお話ではありますが、
同じテーマでまずは1テーマ書ききる、という方針でやっていこうかなと。
文章を書きすぎるきらいがあるので悩ましいのですが、
途中まで書いて止めると、また書き始めるのが難しくてですね。
4000文字ぐらい書いて、4回ぐらいに分けて発信させていただこうかと笑
今日はリハビリということで、こんなところで。
それではまた。
節税とは何か?-3 租税回避は許される?
前回記事の続きになります。
租税回避とは
租税回避(そぜいかいひ)とは、合法な租税負担の軽減・排除のこと。主に税法や課税庁の意図しない方法で行われる点で節税と区別される。
法律違反ではないけれど、課税されるのかと思いきや実は課税されていない。
というもの。狙ってやるとすれば法律のスキを突いたものともいえます。
例えば、所得税では45%課税・法人税は30%課税であるとき、
所得税が高いので、個人事業として払うべき事務所家賃の相場が
30万円のところ、値増しして45万円払うこととします。
そうすれば、高い税率である個人の所得は通常より15万円分減り、
法人の所得が増えたとしても税率差の15%がオトクになる、というもの。
法人としては利益が増えるものの、個人事業としては損をしますが、
税率差分を個人側では給与等で回収します、というスキーム。
(言葉だけでは分かりづらいかもなので、詳細を別記事にする予定です)
※逆に法律の不備で、本来は課税されるべきでないものや、
法趣旨から外れたものが課税される、ということもあります。
租税回避を「狙う」ことは許される?
結論からいうと「許されない」ことのほうが多いものになります。
まずは法律上の規制があります。
先ほどの例でいえば、同族会社(オーナー)の行為計算の否認というもの。
カンタンにいうと、同族会社は税以外のメリットのない取引ができてしまいがち。
なので「第三者間ではありえない取引」で「税以外のメリットのない取引」は、
税メリットがないものとして取り扱う、という規定があります。
ただし、まず税務調査がないと見つかりませんし、見つかったとしても
「あり得ない取引」(それを容認すると法人税の負担を不当に減少させる結果となる)
ということを税務署側で証明する必要があるので、
余程悪質 or 分かりやすいケースでなければ、課税されない点に難しさがあります。
つまり、ギリギリ「あり得ない取引」にひっかからないところを狙う、
ということで租税回避できることはありえます。
あり得るのですが、税理士としては中々アドバイスしづらいところでもあります。
(税理士は本来的には税務署と納税者の中間の立場なので、法趣旨から外れたことはいえない建前があり。)
また上記の流れからいうと、道義的な問題もあります。
法趣旨から外れていますので。
パナマ文書やタックスヘイブンなどは正に大問題になっていますよね。
そもそも節税は許される?
では節税はどうでしょうか。
一般的には、賃上げやDX、CO2削減設備など、
インセンティブがないと進まないであろう先進技術導入などを
サポートする目的で作られた税制による節税は、許されるものでしょう。
ただし一部企業にとってしか適用できないもの、
特定事業の利得につながるもの=利権かも、という意識は持っておくと良いかもです。
以上長くなりましたのでこの辺りで。
次回以降は
・脱税や租税回避否認の場合のデメリットの説明記事
・税務知識はお金につながるか?(どんな知識がお金につながるか?)
という論点を予定しております。引き続きよろしくお願いいたします。
節税とは何か?-2 その節税は誰のため?何のため?
前回、節税でお金は増える?という見出しを付けました。
節税すべきかの判断について
では、節税策をとるべきか否かをどのように判断すべきか。
それには二つの視点があると思っております。
将来の収入UP or 費用downにつながるか
設備投資関係の税制はこれでしょう。
1,000万円の設備を5%税額控除があるからといって急いで買ったとしても、
通常時と比べて50万円税金が減るだけですので。
必要があるタイミングで買わないと、使っていない期間の経年劣化で
損したりし、もう少し待ったら値引き交渉できるかもしれません。
(逆に税額控除特需を狙って値引きしてくれたら万々歳ですが笑)
賃上げ投資税制も、いずれ人材が必要となるのであれば、
税額控除できるタイミングでやっておく=将来の費用を減らせる、
とか、税額控除をとるために賞与を上積みする=人材流出を防ぐ、
といった費用down効果を見いだせる節税であれば意義があるでしょう。
生命保険の節税なんかは将来の収益面を検討すべき、典型的なものになります。
(生命保険は内容が深くなりすぎるので別記事にします)
控除するための手間がかかるか
先ほどの見出しは収益面だけでしたが、
税制にはもう一つの落とし穴としての「申告」が必要となります。
賃上げ税制は、改正前までは「継続雇用者」といって、
当期・前期のすべてに給与があった人をピックアップして集計が必要で
税理士など集計側からは評判の悪い税制でした笑
(改正で中小企業であれば単純に当期・前期の給与比較すればよいだけになりましたが。
継続雇用者の考え方も二転三転したりで本当に嫌です笑)
税理士としては調査リスクもあるので、
集計をやる場合には申告報酬に上乗せしたりもします。
自社で集計するとしても、コスト面の問題は中々避けづらい論点です。
機械等の税額控除についても、事前にその機械が税額控除の要件を満たすものか?
の確認資料や、投資計画資料の準備が必要なケースが多々ありますので、
節税効果とコスト面とは必ずセットで確認すべき論点といっていいでしょう。
その最たるものが組織再編や連結納税による欠損金控除、かもしれませんね。
節税は「オマケ」か「ダメ元」程度に思っておくとよい
このように節税にはさまざまな支出がつきものです。
節税できて有意義か?の検証については、先述記事のLTV分析をおススメしようかと
思いましたが、それこそ手間だな?という…
(例えば機械を買う位の規模感なら既にしてると思うが、PC買う位では手間コストのほうが高い)
なので節税は、「できたらラッキー」のオマケ程度に考える方が、
返って要らないコストやリスクを防げるのではないかな?と思ってしまう次第です。
今回は「節税」をメインにしましたが、次回は「脱税」「租税回避」について、
そしてそのリスクや税務調査について触れる予定です。
また見出し内に出てきた各制度についてもそのうち別記事したいと思います。
よろしくお願いいたします。
節税とは何か?-1 よくある間違い
よく「節税お願いします」と言われますが、
節税って何でしょうか?という記事です。
節税とは
web辞書などではこのように表現されています。
・所得控除や非課税制度を活用して税負担を軽減すること。(goo辞書)
・節税(せつぜい、Tax Saving、Steuerersparung)または租税節約とは、租税法の想定する範囲で租税負担を軽減・排除する行為である。(wiki)
調べてみると、なるほど辞書というのは正しい表現をするものだなと感心しました笑
よくある間違い①「脱税」「租税回避」との違い
wikiの引用にもありましたが、節税という場合には「租税法の想定する範囲」、
つまり法律違反をしないで税金を減らすことを指します。
これに対して「脱税」とは
明らかに・わざと、法律違反をして税金逃れをすることを言います。
典型的には二重帳簿による売上の無申告、経費の水増しなど。
また「租税回避」というのは、法律上は違反しているわけではないが、
「租税法の想定」から外れて税金を逃れることをいいます。
パナマ文書など、税金の少ない国で利益を上げて税逃れをすることが典型です。
「脱税」「租税回避」と「節税」の理解が混在している間違いは、
わりと古典的なよくある間違いです。
(ただし「租税回避」と「節税」については線引きが曖昧な部分もありますがそちらは別記事で。)
よくある間違い②「節税」すればお金は増える?
一義的にいえば、「節税」でお金は増えるはずです。税金が減りますし。
ただし一般的な節税は「○○を支出したとき」や「○○の支出が増加したとき」
に税額を減らす、といった支出条件が付いていることが多いです。
その「減った税額」と、「○○の(増加した)支出金額」が
どちらが大きかったか?ということを意識している人は、意外と少ないものです。
その時点では特別な支出がなくても節税できるものはありますが、
(例:損失の繰越控除(個人の株式譲渡、法人の欠損金など)、
固定資産の除却(使わなくなったものを台帳から消す)など)
これらも過去の支出・損失を、現在の利益にぶつけるものであり、
全くの支出無しから節税することはできないことが多いです。
次回はこの間違い②について、
具体例などを交えて説明させていただこうと思います。
ざっくり・かんたん消費税チェックのすすめ-2 後でビックリしないための対策
越年してしまいましたが、前回の記事の続きです。
半年に一度でも、ざっくり計算のすすめ
消費税も、法人税と同じく、納税(確定申告)は年一回がベースとなります。
法人税は黒字で納付なので、一般的にはキャッシュが残っている状態。
ですが消費税は赤字でも納付可能性が結構あります。
また、申告期限まではキャッシュフロー的には増えてしまう
=納税分のキャッシュは手元に残ってしまうので、
ある程度の納税額予期をしていないと、申告時点(またはその直後)で
資金ショートのピンチ発覚ということも全然あり得ることになります。
納税予測額はダイレクト納税用口座に避けておく位の気持ちだと十全です。
試算の回数のめやす
とはいえ、何度も試算するのはメンドウですので…
一つの指標として、消費税の中間申告の回数くらいがめやすになりそうです。
ただし上記は年間税額ベースですので、
売上×50%が納税額になるとしたら、売上を目安とすると以下の通り。
・年間売上8,000万円以下→年1回(半期毎)
・年間売上8,000万円超~9.6億円以下→年3回(四半期毎)
・年間売上9.6億円超→年11回(毎月)
ざっくりいえば、年間売上1億超で年3回になるかも?というところでしょうか。
(実際には業種ごとに原価率が違うので全然違う結果かもですが)
年間税額48万円以下(上記の売上目安でいえば960万円以下)であれば
中間納税義務はないのですが、まあ年1回ぐらいはやってもいいかなと。
試算の精度について(どれ程度の手間をかけるか)
前回記事では試算表からざっくり計算しましょう、としましたが、
「毎月の帳簿なんてつけてないです」という方もいらっしゃるかと。
その場合でも↓ぐらいやれば、後は前回記事のざっくり計算で十分です。
A:現金預金の入出金の取り込み
B:カード関係経費の取り込み
C:売上計上
A・Bは昨今の会計ソフトであれば標準装備でやってくれます。
Cは売上台帳や請求リストがあればそれで。
なければAの入金データをそのまま使ってしまうでもよいかなと。
できれば仕入・外注費などの原価計上もした方が良いですが、
後から計上でも減税効果なのでざっくり支払いベースとかでよいです。
調査などがある訳でもないのでそこまで厳密である必要もないですが、
売上計上漏れは後に響きますので、入金データを使う場合には、
請求合計と売上高が概ね一致してるかは見るとよいですね。
以上、今後のインボイス制度導入に向けて、転ばぬ先の杖てきなお話でした。
それでは。
税務報酬の決め方-番外編 LTV(Life Time Value)分析してみた
1か月ぶりとなってしまいましたが、あけましておめでとうございます。
早速ですが、今回はこちらの記事の続き?のようなものです。
LTV(Life Time Value)分析とは
こちらの書籍の内容の一部をまるっきり参考しています。
LTVを直訳的に言えば「人生で得られる価値」といったところでしょうか?
詳細は書籍を読んでいただければと思いますが、
私は1顧客との長い付き合いのなかで得られる利益を、正確に出すための分析
と現状では理解しています。
税理士的なLTV分析(一般的な損益分析との違い)
では今までのような「収入と変動費・固定費」で導くような
損益分析(損益分岐点分析)の考え方と何が違うか?ですが、例えば
・商品(サービス)ごとの利益を出すこと
・その顧客との付き合いはどの程度継続できそうか?(そのために何が必要か)
・付き合いのなかでのコスト・リスクをあぶり出すことができるか?
といった要素を加味することでしょうか。
お試しLTV分析モデル
少し前置きが長くなりましたがここからは実際の分析方法を少しご紹介します。
まずは分析シートを。
二重線より上が収益分析、青字部分は入力データ。
特に青色部分が手打ちで決めていくところです。
顧問料や時間単価は前記事で概要説明しているので省略しますが、
税理士ならでは項目として以下のようなものがあります。
・想定顧問期間はひとまず5年
→税務調査までの目安期間(前の調査~次の調査までの期間)としています。
調査が来た=顧問が終わる、ということは稀ですが、
契約見直しの目安としても5年くらいがいいかなと。
また大企業であれば(調査の頻度が多いので)短くなりがち、
というのも税務調査期間=想定顧問のイメージと合いそうです。
・税務コストは売上÷1万円としてみました。
→売上1億円の会社で、延滞税等負担額が10,000円としてみました。
本税で10万円位の追徴になるので…これは解約かもですね(;^_^A
こうしてみると、決算報酬15万円は妥当なのか?とか
月次顧問料あれば決算料は安くできるか?など、
改めて考えさせられるなと思いました。
(↑の分析では5年で70万円程度の粗利益ですからね…)
年間作業時間とか入れてみたら人材募集とかにもつかえるかも?とか
まだまだアイデアが湧きそうですが、今回はこの辺りで。
ざっくり・かんたん消費税チェックのすすめ-1
今回は↓の記事で話題とした、消費税ざっくり計算についてです。
消費税の計算はざっくりこんな感じ
試算表の勘定科目といえば、
給与・賞与・福利厚生費・広告宣伝費・旅費交通費・光熱費・通信費・消耗品費・租税公課・貸借料・保険料・減価償却費・リース料・貸倒引当金など…
上記一つ一つの科目について消費税区分を検討するのが本来のチェックですが、
ざっくり・かんたん消費税は
<当期純利益+(給与・賞与+租税公課+減価償却費+貸倒引当金)>×10%
これで十分。試算表から↑の金額を拾うだけでよいです。
※なお建物や機械などPLに出てこないもの(BS計上するもの)があれば
納税額から控除しましょう。
消費税を「税抜き処理」とすべき3つの理由
さて、先ほどの算式は×10%としたので税抜き処理前提です。
100円×10%=10 円の計算ですね。税込みならば(110円÷1.1)×10%です。
税抜き処理とすべき理由としては以下のようなものがあります。
利益×税率=消費税としやすい
カンタンにいえば、先ほどの算式を使いやすいということです。
本来のキャッシュフローを把握できる(特にインボイス制度後)
例えば税込み110円の売上げ、33円の仕入れの場合
税込み利益は77円ですが、納税加味すれば70円が本来CFのはずです。
税込み処理では「消費税を除く」仕訳を追加することにより表現しますが、
税抜きの損益のほうが本来CFをパッと見でつかみやすいという利点があります。
消費税の制度変更に強い試算表を作れる
これも先ほどの税込み110円の売上げ、33円の仕入れの場合で考えると、
8%時代であれば税込み利益は75.6円。
これが10%になることで、77円に上がったように見えてしまう。
税抜き処理であれば税率の変更前後で変わらず70円という利益になります。
注)町医者、不動産屋、住宅賃貸オーナーはむしろ税込み処理すべきとなります。
↑の記事などでも書きましたが、これらの業種は実質消費税負担があります。
であれば、そもそもの諸経費も税込みで考えておくほうが合理的ともいえます。
※あえて税抜き処理しつつ、消費税額を「租税公課」で処理するという方法でも、
税率増減影響の分析は可能です。
(ようは増減税を、諸経費の増減に含めるか、科目を分けて考えるかの違い)
この点はあくまでも好み・各人の分かりやすさでよいかなとは思います。
もう少し書きたい点がありますが、そちらは次回とします。
引き続きよろしくお願いいたします。